ABOUT PIKO

1994年春、のちのPIKOの創業者となるケビン・カマクラは、ハワイのローカルサーフブランドのスタッフとして働きながら、
自分自身の手でハワイ発の新しいブランドを立ち上げたいと考えていた。

その頃のケビンの頭の中にはまだ漠然としたイメージしかなかったが、それを具現化していくための最初のステップとして、
ケビンは知り合いのカメラマンに一枚のスナップ写真を撮ってもらった。

「サーフボードとハワイの海をバックに、トランクスを穿いて佇む少年。」

その写真はケビンを十分満足させるものだったが、ブランド名のアイデアはまだ浮かんでいなかった。

夏のある日、ケビンはいとこのカイルを連れてタウンを代表するサーフポイント、アラモアナボウルズに行った。

二人はサーフィンを楽しんだり、ビーチでふざけあったりして遊んでいたが、そのうちカイルが仲の良い友達を見つけ、
サーフボードをケビンにあずけるとそのまま友達のもとへと走り去って行った。

カイルとその友達はビーチに築かれた小さな石垣にもたれながら、しばらく取り止めのない会話を続けていた。
その時、自分の隣でおヘソをポリポリしている友達の姿に気づいたカイルはふとその訳を聞いてみた。

「おい、さっきからヘソいじって何してんだよ!?」

「えっ、いや、べつに…。オレの"PIKO"を、その、きれいにしようかと思ってさ」

「PIKO?そんなもん、きれいにしてどうすんの!?」

カイルは思わず腹を抱えて笑ったが、咄嗟にあることが頭に浮かんだ。

「待てよ。"PIKO"ってすごくキャッチーな響きだな!ケビンに教えてやろう!」

カイルはすぐさまケビンのいる場所に駆け戻り、今あったばかりのことをそのままケビンに告げた。

「でさ、ケビン。PIKOってのはどうだろ? ほら、あたらしいブランドの名前にさ。ずっと探してたろ!」

「PIKO?ヘソか?」

ケビンはカイルの得意絶頂の様子を見ながら、頭の中でPIKOというフレーズを繰り返し唱えてみた。

「なるほど、こりゃ、ひょっとしたら面白いかもしれないな……」

それから数ヶ月後、ケビンはラスベガスに久しぶりの家族旅行に出かけた。

ホノルル空港を飛びたってから数時間、家族との会話もそろそろ飽きたケビンは暇つぶしにシートポケットから雑誌を
取り出し、それをパラパラとめくり始めた。

そこには、ハワイ語で意味するところのPIKOの精神が克明に記されていた。

「ハワイ語で『ヘソ』の意。 ヘソはすべての生命の源であり、古来ハワイアンはそこに万物の魂が宿ると信じている。」

それはまったくの偶然だった。

しかし、たまたま手にした雑誌によって『PIKO』のスピリチュアルで深い意味を知ったケビンには、もはや迷いはなかった。

「これしかない!よし、オレのブランドはこれでいこう!」

ラスベガスから戻った翌日、ケビンはさっそくブランドロゴの創作にとりかかることにした。

斬新なコンセプトとキャッチーなネーミング。

それをビジュアルでカッコ良く表現することができれば、このブランドは必ず成功する。

とはいえ、イメージどおりのロゴを描けるアーティストなど、そう簡単には見つからない。

勤め先の仕事を終え、叔母の家の納戸を改造した小さなオフィスでひとり頭を悩ませていたケビンは、
そのうち思い立ったようにサーフボードを抱え込むとそのままクルマに乗り込み、ビーチへと向かった。

何かに行き詰まったとき、ケビンはいつもそうすることにしていた。

夕暮れ時のクィーンズの波はいい具合に上がっていた。

リフレッシュのためのファンサーフには、うってつけのサイズだった。

そこで何本かメイクしたとき、向こうから自分に向かってパドリングしてくる男がいた。

幼馴染みで親友のウェイドだった。

およそ一年ぶりの再会に二人は本当に喜んだが、そこでケビンはハッと気がついたようにウェイドに
自分のアイデアを切り出してみた。

「そりゃ、面白いじゃないか、ケビン!よし、オレに任せてくれ!」

ウェイドは新進気鋭のグラフィック・デザイナーとして売り出し中だったのだ。

ケビンの考える新しいコンセプト、それをイメージした一枚の写真、そして『PIKO』というネーミング。

ケビンという人間を知り尽くすウェイドは、その日からラフスケッチに没頭した。

そして一週間後、ロゴはついに完成した。 「ケビン、今すぐ会えないか?」

……それから30分後、二人はあの納戸で互いの手を固く握り合っていた。

目の前には斬新なロゴが圧倒的な存在感を見せつけていた。

いまや世界を代表するサーフブランドに成長した『PIKO』はこうして誕生し、
ケビンとウェイドはさらなる『PIKO』の夢を実現するため、今日もオフィスで机を並べている。

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